野村羊子Blog
 日々の思いや行動などを綴っていきたいと考えています。よろしくお願いします。

2007/03/01
「君が代」ピアノ裁判で最高裁判決

卒業式で、君が代の伴奏を命じられた音楽専科の教諭が、職務命令を拒否したとして処分されたことを訴えた裁判で、最高裁の判決が出ました。「職務命令は、憲法に違反しない」との判決で、教諭の敗訴が確定しました。

報道によれば、判決は、君が代が日本のアジア侵略と結びついているなどとする教諭の考えを
「自身の歴史観や世界観に由来する社会生活上の信念」と位置づけました。つまり、憲法にその自由を保障されている思想・信条とは違うというわけです。ですから、「職務命令が直ちに教諭の歴史観や世界観それ自体を否定するものと認めることはできない」というのです。さらにピアノ伴奏は「音楽専科の教諭にとって通常期待されるもの」であり、「特定の思想を持つことを強制したり禁止するものではなく、児童に一方的な思想や理念を教え込むことを強制するものでもない」と断じています。だから、公務員の職務の公共性を定めた地方公務員法や、式典での国歌斉唱指導を定めた学習指導要領などの趣旨からも、今回の命令の「目的や内容が不合理とはいえない」と判断し、違憲を訴えた教諭の訴えを退けたのです。


すでに、審理を開かずに判決の言い渡しがあるから敗訴だろうと推測されていましたけれど、ここまでひどい内容だとは思っていませんでした。

思想・信条とは何でしょうか?公務員は、自らの思想・信条に従って生きる権利がないのでしょうか。国が、時の政府が決めたことには、唯々諾々と従わなければならないのでしょうか。公務員は政府ではなく、国民に奉仕するものではないのでしょうか。何が国の、国民の利益か、それぞれの判断に基づく論議がされてこその民主国家ではないのでしょうか。


この裁判の本当の問題は、「君が代」をどう価値づけるかにあるのではなく、人の価値観・思想・信条に反して、職務を強制できるのか、という点にあります。
この判決は、内心どう思おうとも命令に従うのが公務員の務めだとしました。
結局、殺人は悪い、暴力はだめ、と思いつつも、命令されれば人を殺し、暴行を加えざるを得ない兵隊(国の軍隊ならそれは公務員ですよね)への道に通じるものです。
日本は、良心的兵役拒否も認めないような国になっていくようです。

これから、卒業式・入学式のシーズンです。東京地裁で、国旗国歌の強制は「違憲・違法」との判決を受け、強制しないようにとの動きが出ている中で、あえてこの時期に判決を出したのではないかとも思える状態です。

先生たちに踏み絵を強制し、自由にものをいえる空気を奪い、内心の自由を心の奥底に閉じこめさせる。そこからは、教育に必要な活気は生まれてきません。
管理強化・厳罰化は、ストレスを高じさせ、いじめや関係性の荒廃につながりかねません。
「人権メタボリック症候群」などと揶揄する人が大臣である教育行政に於いて、本当に人権がないがしろにされていると感じます。

この記事のトラックバックURL:
http://www.nomura-yoko.net/nomura-yoko.net/mt/mt-tb.cgi/48