野村羊子Blog
 日々の思いや行動などを綴っていきたいと考えています。よろしくお願いします。

2007/03/31
神沢利子展

「どうして?神沢利子展~ウーフからの招待状~」の最終日を見てきた。
三鷹市から受託した神沢利子展プロジェクト実行委員会が主催したもの。
多数の市民ボランティアによるスタッフが、展示品をも手作りした企画展。
神沢さんの過去の写真や自筆原稿といった資料的価値のある展示もあったが、それよりも、子どもたちが神沢さんの作品の世界で遊べるような工夫があちこちにされていた。例えば、台所。フライパンじいさんやはらぺこおなべにあなじゃくしのおたまちゃんなどがいる。展示品なのだが、子どもたちがすぐにままごとを始めてしまう。どうしての木が壁の高さに描かれていて、どうしての質問を葉っぱに書いて貼り付けることができる。展示品のほとんどが段ボール工作でつくられている。さわって遊べる展示としてユニークだし、大人も童心に返って楽しむことが出来たように思う。
午後の時間に訪れたのだが、最終日ということで、予定にはなかった読み聞かせイベントが行われていた。フロアは座り込んだ子どもたち、それを取り巻く大人たちでいっぱい。中学生によるフライパンじいさんのペープサート、「たまごのあかちゃん」などの読み聞かせの最後に、神沢さん自身が「鹿よ、おれの兄弟よ」(パブリーシン絵 福音館書店刊)を朗読。滅多にないチャンスに巡り合わせたのはラッキーだった。
この絵本は、私も大好きな絵本で、いくつかのところでも紹介している。シベリアに住む少数民族の若者が、鹿狩りにいく情景を描いた作品で、鹿や自然への畏敬の念に満ち、命の循環へも思いをはせている豊かな作品だ。絵も細かく細密に描かれていて美しい。
この本には特殊な擬音が使われていて、どう発音するのかと思いながら、私も何回か読み聞かせに使っていた。今回、作者の神沢さん自身による発音を聞けたので、それに近い形で読むことが出来る。やはり作者自身の読み聞かせは、多くのことを学ぶことが出来る。もちろん私の読みは、私自身のフィルターを通してしか出来ないものだが、深く感じることが出来れば、それだけ言葉に思いをのせて読むことが出来る。
このところ、物語を読む時間もない状態で、絵本の世界からも離れがちだったので、この展覧会を訪れて、豊かな思いができたのは幸せだった。

ちなみに、神沢さんとは、プーの森が三鷹に移転して来た時以来のおつき合い。元々は下の娘さんとそれとは知らずに出会ったのだが、移転記念の講演会を引き受けていただいた。その後も時々プーの森でお買い物するなどしてくださっている。今回の私のチャレンジも応援してくれていて、心強い限り。

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